人魚脚/ああああ
と流しにすぐ水がたまったので、ごみ箱のティッシュを使って排水口のうろうろを取り除いた。人魚脚は紙を大切にしないで、ぱっと使って捨てるので、彼女のゴミ箱は白い丸めたティッシュでいっぱいだった。彼女はぼくに鶏肉の炒め煮のような料理を作ってくれた。ものが多くて、掃除機をかけるのが難しかったので、ぼくは小さい黄色いほうきとちりとりを買ってあげたが、彼女がそれを使っている様子はなかった。人魚脚は紙を大切にしないのでぼくがドーナッツの入っていた袋をやぶり開いて書き物をしていると、
「やめなよ、紙あげるから。」
と言った。
「なんで?いいじゃん別に」
「はがしたあとがベタベタするでしょ」
「そっか」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)