人魚脚/ああああ
のようなかがやきが付いている。目の焦点を光る粒に合わせてよく見る。針だった。動物の毛のように細いおそらく鍼師のつかう針やまち針のようなピアス、おもちゃの釘のような針が刺さっている。一度まばたきをしてもう一度見て、やっと分かる。人魚脚は、手のひらのしわと針だけで雪が降ったときのこの町の景色を再現していた。
吉田さんは磁石を針にくっつけて引っぱり始めたが、遠目に見ても下手な動作だった。針がどっかにひっかかって抜けない。「貸して」と、ぼくが替わって左手に人魚脚の手、右手に磁石を持って針を抜いていった。ぬるりと抜ける痛快な感触がこちらの手に伝わってくると自然ちくちくする痛みも自分のものとして感じら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)