人形願望/木原東子
 

でもどこか目の形が可愛くない

しばらくしてYはその子を近所の子にあげてしまった
それほど疎ましかった理由は不明
(今から思えばYの自立心を母親は否定したのだ)

数年して、母の夕子が、社会の宿題中のYに尋ねた
「世の中で一番感謝しなくちゃならない人って誰だと思う?」

世の中のことを習っていたのでYはありたけの職業をあげた

「お百姓さん?」x 「大工さん?」x 「魚屋さん?」x 「先生?」x
万策尽きて「誰なのよ、おかあちゃん、教えて」

「それはね、お父さんとお母さんよ」

Yは真っ青になった

ひどい裏切りのように思われた
無償の愛ではなかったのか、
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