ディスプレイの中の私/番田
目に見ているものが手にはあった。それは、何も私に与えることはないだろう。サイコロのように目を出しながら掌の上をひたすら回り続けるだけ。それは京都製の、きめ細かな木目に漆の塗り込まれたサイコロの形の形状だった。僕は窓の外を見つめていた。曇りがちな月曜日の、多くの手を繋いだ人たちがーー目を合わせることなく通り過ぎていく。しかし、日曜日にはスーツを来た人が何人も目の前を交差していくことだろう。それも、逆の話なのかもしれないが。どうだっていい。どうだって良いことばかりが街の中では目についた。スマートフォンは一年後には消え去っていくことだろう。インターネットも今までの勢いを確実に失っていく。地震でひび割
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)