空の子ハイヒールは海に溶けぬ/ayano
 
うさんが遊んでくれないときわたしはめっぽう寂しかった。貝合わせがだいすきだったからそんな女の子らしい遊びにおとうさんは飽きてしまったのだと思った。でも違った。おとうさんは外出が苦手のわたしに靴をつくってくれていた。
そして、わたしが白い絵の具を塗ったの。海色に負けないくらい強い色を味方にすればおそとに慣れると思っていたの。波色とかぶったことに気付いてショックを受けたのは言うまでもないが、それでも外出が増えたのは事実だった。波の痕跡はおとうさんのおひげみたい。そう言ったらおとうさんは傷だらけのゴツゴツした手でわたしの髪を撫でてくれた。


染色は止まることを知らずハイヒールを真っ赤に染め上げ
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