(連作) 公然たる敵/榊 慧
 
す、
怪物である必要はない、敵であれ、俺を貫く、
反り返る白い足の指先ははやがて産声をあげる朝へ

私は止めた。その行為、例えば。「やめなさい。」
アルコールも吸収できないお前など、やがて溶けるのだ。そうに決まっていた。
朝は早起きし、お前はそのままであった。
私の何を知っている?例えば。「やめろ。」
愛してやろうか、お前、が望めば。そうしなければ俺は止め続ける。

わが内に越境者一人育てつつ鍋洗いおり冬田に向きて 2

その欺瞞だらけの舌、やわらかく俺に触れる唇、俺を腐敗させる、
朝を見ずに、その指し示すものの付け根に接吻する、
俺は溶けるかもしれない、腐りなが
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