運動へのコラージュ/草野春心
 

  世界の眼
  木星から
  君は
  素っ裸で君は
  ケタケタと笑いながら君は
  法則にしたがって
  手放し
  投げ
  ほうる
  巨大で
  矮小な
  絶対零度の
  時間の眼

  *

   蝉という名の運動を、夏の大地が反
  芻している。繰り返す、繰り返す、と
  自らに聞かせつつ。わたしの両脚は、
  残像の手によって背を押され、歩行を
  獲得させられつつ、ある、ない、ある、
  ない、ある、を繰り返しつつ、聞きつ
  つ、聞かせつつ。夏が四肢となり、四
  肢が水となり、水が存在となり、扱わ
  れることを拒みつつ
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