雨音の旅路/つむ
 
ドを切り混ぜ、
 あなたは
手の内を見せることはなく
 (わたしは、)
列車は音もなく水を切り撥ねながら滑ってゆく
向い合せ テーブルの上には、
二つに分けられたコインの山
 最後には全て差し上げますよ
そう言ってステッキを軽く振って見せる
顔のない私の連れ合い
長い長い旅路で
ただ私とふたりきりの。
 雨はじきに上がり、雷も止むでしょう
 列車は終着駅につき あなたを置いて去る
 何も怖いことなどないのです
窓ガラスには細かな雨粒が燦然ときらめき
私の息でわずかに曇る
連れ合いはステッキを置いて再びカードを切り始め
 日
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