むなしいのさこの世界は結局/青木龍一郎
平凡な日なたにすら風が吹かない
続く曇り空
進まない時計
時間感覚に犯された腹時計は
今日も同じ時間に空腹を知らせる
パラシュート身に着けず乗った
スカイダイビングの飛行機
仕方なく飛び降りぬまま着陸して
みんな変な感じになる
腐ったご飯がジャーの中で
腐り続ける
老人が老人ホームの中で
老い続ける
電気をつけたのに
暗いままの部屋
でも目が闇に慣れてしまっている
見つからない懐中電灯
下がったままのブレーカー
何も聞こえないこの町のこの部屋で
ベッドに横たわり
空間を見つめている
どうしても世界が晴れない
どうやっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)