1872年 足の裏/長押 新
 
セエターは善意をかぶるようだ。怪盗にようく、似合う。お眠り、いい日を、こつ、コツ、こつ、靴の音だ。にやり、戦慄が少年の目から零れグレーのタイツが空中を舞う。それはブルーにグレーの空を地べたに這いつくばせる少年の宣戦布告。結びましょうよ、たかいもひくいもブルーandグレーさ。少年は怪盗が近くを通り過ぎているのに気がつかなかったわけだ。意思表示の合致はひそかに、ささやかに行われただけだ。ひとしきり瞼の裏を舐めた後に、生活を探し回る日中、太陽は少年を毛嫌いする。少年を照らすのは、太陽ではないにしろ、少年は太陽へ感動しない。くわえて少年は曇りにも苛立つ。それでも共にいる太陽へ向けられている意思の不存在には
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