その立体はわたしたちの団地を支配していた/リンネ
体は団地をも支配していた。そして団地はといえば、団地は慈悲深い太陽によっていつまでも照らされていた。空はぞっとするほど広びろとしていた。耐えがたいほど広びろとして、澄みきっていた。
そして砂場ではあいかわらず立体が突き刺さっていた。立体の周りには子供たちがあつまっていた。子供たちはみんな長い枝棒を手にしていた。それを使って、強く立体をうちすえていた。強く何度もうちすえていた。くりかえし、くりかえし、子供たちは公園の砂場で立体をうちすえていた。
いつしかその子供たちも、みんな立体になっていた。しかし慈悲深い太陽はいつまでも空に浮かんでいるだろう。そして立体は、立体すらいつしか死んでしまう
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