その立体はわたしたちの団地を支配していた/リンネ
 
まうだろう。死んでひとつぶの砂になるだろう。たったひとつぶなのだ。それで十分なのだ。そして風に流されて消えてしまうだろう。
 そうだ、立体は消えてしまった。もうないのだ。わたしたちの中にも外にも、どこにもないのだ。しかしそれは、あたりまえにまたどこからか吹いてくるのだ。なぜならほんの少しの隙間があれば、それで戻ってくるのに十分だからだ。なぜなら立体はたったひとつの砂つぶに過ぎないからだ。それはどこにでも落ちている。あるいは今も空に浮かんでいる、たったひとつぶの、とるにたらない砂に過ぎないからだ。つまりわたしは、そのひとつぶの砂におびえているというのか? たったひとつぶの砂の侵入におびえて、またこ
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