その立体はわたしたちの団地を支配していた/リンネ
 
。その中はぞっとするほど広びろとしていた。わたしたちのだれ一人泣いていない者はいなかった。わたしたちはみんなあかんぼうのように泣いていた。ぞっとするほど泣きわめいていた。わたしたちは生まれたときからねじが歪んでいたのだった。歪んだねじでぎりぎり体をつなぎとめていたのだった。わたしたちは立体の中で泣いていたのだった。そして左手を見れば、わたしの左手はいつのまにか立体になっていた。気づけば右手も立体だった。ひじも、肩も、どうにかしてからだじゅうが立体に変わっていた。立体がわたしたちを支配していた。団地を支配していたように、立体は、今度はわたしたちをも支配し始めたらしかった。それでいて、依然として立体は
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