その立体はわたしたちの団地を支配していた/リンネ
 
た。わたしたちはぽんこつであった。それを慈悲深い太陽は照らしていた。照らしながら、水たまりの中からこちらを見上げていた。太陽はわたしたちぽんこつに見とれていた。ぞっとするほど見とれていた。しかし次の瞬間にはその太陽も消えていた。そしてわたしたちは背中が氷のように冷たくなるのを感じていた。立体がわたしたちに迫ってきていた。
 
 立体はわたしたちと太陽との距離をどうしようもなく遠くへだてていた。その距離がどうしようもなく冷たく哀しいために、わたしたちはやはりぽんこつであったと感じざるを得なかった。立体はすっぽりと隙間を開けていた。あれほど厳重に閉じられていた隙間が、今ではことごとく開いていた。そ
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