その立体はわたしたちの団地を支配していた/リンネ
 
らわたしたちは砂場に転がっていく大きな球に目を奪われていた。それはわたしたちのうちのひとりが吐きだしたものだった。それは立体に向かって転がっていった。それは慈悲深い太陽のようだった。なぜならその球は眩しいくらい光っていたからだ。光りながら球は転がっていった。そしてそれはしゃちこばった砂場の立体にぶつかった。するとたえがたいほどの光が一瞬燃え上って、そのまま球は消えていた。わたしたちは予感していた。それは何か霧を晴らすような予感だった。ところが、依然としてわたしたちはぽんこつのままだった。しかし少なくとも予感はあったのだった。砂場には水たまりができていた。水たまりの中に映ったのは慈悲深い太陽だった。
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