その立体はわたしたちの団地を支配していた/リンネ
 
いた。同じ形に、同じ厚みに、同じ冷たさだった。それでいて鍵はみんな違うのだった。もはや団地のいかなる隙間にも彼らの存在する余地は残っていなかった。立体はそれほど完ぺきだった。
 ところがあるとき、立体は砂場に突き刺さったまま動かなくなった。ぽんこつの彼らはいつもと同じようにその砂場で山をつんでいた。ところが立体のある場所だけは、山をつむことができなかった。それは彼らにとってひどく気分の悪いことだった。彼らのうちのあるものはひっきりなしに吐き続けた。吐いた物には涙が交じっているようだった。それは砂場に流れた。流れて山を崩した。わたしたちはすぐに代わりになる山をつまなくてはならなかった。ところが新し
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