手を翳す不安/アラガイs
 
れば、まず手のひらを開いてみよう」

昨日忘れていた奴と車の中で冗談を言い合っていた 。
嫌な気分のときにはいつもそんな(夢)をみる 。
最後にカクテルを飲んだのはいつだろう
手に持つ空の酒瓶には、血に飢えて抜け落ちた狼の毛が写っている
それを思い出しながら暗い塀のなかでじっと壁を見ていたのは
……………「明日は」 と涙を浮かべて壁に寄りかかり、誰かに向かって泣きじゃくる
たまに逆立ちなんかもして平気な顔をして、「待てよ…」その看守の顔には確かな見覚えがあった 。

白い長い毛の猫を抱いた婦人が船から降りて来て
僕は近くの公衆電話でお金を拾った 。
しかし、そん
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