ピーアイエヌケー/魚屋スイソ
 
沫が散って、おれの眼鏡のレンズにまで付着した。それを人差し指と中指で塗り拡げると、視界が染まって、目に映るもの全てがおれに恥じらいをもって紅潮しているように見えた。煙草を踏み潰して、かわりに二本指を揃えてにおいを嗅ぐ。舐めると苦かった。彼女は自分の体液を飲み込みながら、顔を歪めたり緩めたりして、ピンクの涙とピンクの鼻血とピンクの涎を垂らして痙攣していた。沸騰した彼女の溶液が次第に気化し始めいて、部屋中が喘ぐようになっていた。乳首と膣から、彼女の中身がすべて放出し、火を止めて鍋の中をかき混ぜると、二つの眼球だけが浮いているだけで、他は何も残っていなかった。スプーンで掬って高く掲げると、蜂の蜜のように
[次のページ]
戻る   Point(6)