ピーアイエヌケー/魚屋スイソ
 
うに糸を引いて、それを落としたりまた掬って掲げたりを何度か繰り返しているうちに、加虐的な気持ちになっていく。皮膚感覚が遠のいていっている。膨張した神経がひしめきあっている。眼球を噛み潰して、まだ熱い半透明でピンク色の液体を、両手で掬って飲む。吐きながら飲み下す。舌が痺れて粘膜が爛れて眼窩が甘ったるくて、脳みそがずぶ濡れだった。体温の上昇や感情の高ぶりと同時に、途方もない落胆を、排水溝の栓を抜いたときの渦巻くような喪失感を、おれはハイスピードで味わっていた。射精に似ていた。ピンク色の、無口で伏し目がちな射精だった。キッチンは焼け付くような静けさの中で、焦げることも凍ることも許されないまま諦観めいた沈黙を決め込んでいた。おれは唇から溢れた彼女の溶液を自分の裸に塗りたくって、残りをプラスチックの水鉄砲に詰めて、銃口をしゃぶりながら、引き金を引いて、
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