失楽園/長押 新
草原が膨らんでいくころ、足の裏にはたくさんの砂埃がつき、厚くなった皮の間には筋がみえる。白い筋だ。砂埃のための地面にはいくつもの手紙が地雷とともに埋められていることをわたくしは夢の中で知る。幻想と虚構の中の夢は、どこからもやってきた。誰も地雷が手紙だったのか手紙に地雷が添えられたのかは覚えていない。皆が死んでしまったから、覚えていることができなかった。地面にも、木の根にも、文字らしいものはひとつもなく、そのかわりに歌や踊りが、点々とあらわれていた。沈み込む、ヘルメットの重さで地面へ沈み込む、点が蜘蛛の小さな子供等であるのに、踏んでしまってから気がつく。沈み込む、わたくしは地雷になる。苦しくもない
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