失楽園/長押 新
に寝ている。だから、わたくしは手前に転がっているヘルメットを被る。
深い疲労が、或いは医師によれば精神的免疫不全、もしくは、人々が言うには指先から血液を抜かれているために、その重さにふらついてしまう。筋力のない身体では地雷を踏めないことくらい聞かされていた。土の隙間から蜘蛛が風に身をあてるように這い出す。インクのように黒い蜘蛛であった。
一つの地雷に幾らの悲しみがあるのか、それは長い手紙のように文の始まりだけが大きく、萎んだOがRに飲み込まれている。爆発音さえ聞こえないのに、悲しみの声は届かない。他には誰もいない、わたくしは地雷を爆発させようとしている。ヘルメットを被る、取り除くために。
草
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