木魚屋/魚屋スイソ
類を売るショップかと、絶望的な笑いが込み上げてきてウフッて声が漏れてそのウフッの響き方が妙に啓示的で、このモーター音に似た懊悩から解脱させてくれるような厳めしさすら感じられて、しばらくおれは彼女を抱きながらウフッを連発していた。
それにも飽きた。胃が痛くなってきた。店の奥はそのまま住居になっているらしく、戸を開けると廊下の向こうに障子が見えた。中は居間とひと続きになっている厨で、ブーツのまま上がり込むと床板が軋んだ。電灯をつけたかったが何度ヒモをカチカチしてもつかないのでいったん彼女をちゃぶ台の上におろし、無心で流しの傍にある冷蔵庫の扉に手をかけた。開けた途端、夥しい量の、ちぎれたゆで麺のよう
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