木魚屋/魚屋スイソ
冷凍庫のあいのこだ。キャベツ畑を冷たいマシンが行く。
腹が減った。野良猫の鳴き声がして、立ち止まるともうだめだった。黒々に固まってしまいそうで、ギロチンめいた風がよく効く。彼女の長い黒い髪を首元に巻き付けるが微塵もあったかくない。
野良猫の姿は見当たらなかったから替わりに雪をすくって二三口食らい、回転しながら立ち小便をして、ここからここまでおれの陣地、そのいびつな領域の中にギターとベースを並べて置いた。寝台のつもりだった。彼女をその上に横たわらせ、おれもそこへ覆いかぶさって寝ようかとして、小便ではなく水の腐ったにおいがして、再び身を起こした。頭上を見ると青いブリキの看板に掠れたクリーム色の
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