木魚屋/魚屋スイソ
いるのか死にたがっているのか判断できない外灯が数メートル置きにゆらゆら立っていて下を見ていて、それ以外に光源の無い暗い路だった。そこで初めて自分の息が白いのに気付いて、まるで冷気を吐き出すマシンの心地だった。積もった雪が足の裏でゆでキャベツのような音を立てていて気色がわるい。拷問器具に抱かれているような寒さ、こいつらも金属だな。右足のブーツの先の剥がれたソールの隙間に空いている穴から恐ろしく冷たいマムシか何かが潜り込んできていて牙を立ててぎゅっと噛み付いて白濁の毒を指先に流し込んでいるが、彼女の好きな「局部麻酔少女図」という食虫植物ズの歌を歌いながら堪えて歩いた。おれはきっとジュークボックスと冷凍
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