アワー・オフィス/リンネ
 
しまっている。妙なことになった。いったいわたしはどこで仕事をすればいいのだろう。オフィス中を歩き回ってみるが、どこにも空いている席が見あたらない。困ったものだ、いったい、わたしはどこにいればいいのだろうか。これでは仕事ができない。しかし、考えてみればそもそもみんな椅子の上で回転していて、仕事などほったらかしにしているのだから、なぜわたしだけが律儀に仕事をする必要がある?

とつぜん、電話が鳴った。わたしは近くの受話器を取る。「もしもし――」といったところで、そういえばこの会社の名前は何であろうか、と疑問に思う。さて、わたしはポケットから自分の名刺を取り出して確認してみるが、印字された文字がくる
[次のページ]
戻る   Point(3)