テンオアラの嫁/リンネ
して食べる。
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そろそろ反対ホームに移ろうと、地下通路をくぐった。階段を上ってホームに出ると、なぜか急な丘の斜面が広がっている。木々が転々と植えられてるが、その合間を、まるで川が流れるようにして上から下へ、線路が引かれていた。どうやら、電車が停車するのはさらに上のほうらしい。通勤するスーツの男女が駆け足で登って、わたしを次々と追い抜いていく。どうしてかみんな後ろ向きで走っていた。もういいだろう、というところでわたしはそれ以上登るのをやめ、電車が来るのを待った。丘の上のほうでは、さきほどの通勤者たちがさらに上を目指しているようだった。電車がこちらへ走ってくるのが見える。しかし、スピード
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