真っ白い、光/ズー
 
真っ白い、って


乾いた石で造られているベンチが一組、砂地の広場に置かれていた。
祝日の歩道と砂地との境目に、たましいが死んでおり、黒ずんでいる。
ゼラチン状の日差しが、座り込んだ膝を包んでいる手の甲に付着していく日に、夏というものが春というものの肩に噛み付き、秋というものが夏というものの下腹を使い慣れた舌で愛撫していた。
冬というものは、それらの働きを、記憶していく。
これを経験したら、後は腐っていくだけの季節たち。
黒ずんでいる、たましいのたましいが、広場の真ん中あたりにある、居場所を無くした和式の便器と手洗い場まで辿り着いた。
たましいは、手洗い場の蛇口にしぶとく絡まり、
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