雲にのったポポ/みつべえ
 
い、目がまわるよ。けど、楽しいっ!」
ポポが叫んだとき、パパが手をはなした。
「さよなら、ポポ」

ポポは、空を飛んでいた。星ひとつない、まっ暗な夜空だった。気持ちがよかった。このまま、どこまでも飛んで行きたかった。ポポは両手を翼のように広げた。次第にスピードが増した。加速度? ポポは自分が飛んでいるのではなく、おちていることに気づいた。はげしい恐怖がポポを襲った。
「きゃあ、きゃあ、きゃあ、きゃあーっ!」

どすん!

「ポポちゃん、ポポちゃん」
遠くからママの声がする。めざめると、ママがいた。ポポはそこが歩道橋の上であることを思いだした。
「あっ、ママ、お帰りなさい」

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