雲にのったポポ/みつべえ
ママのずっと後ろの方の空、かつて虹がかかっていたところには、赤い雲がたなびいていた。もう夕方だった。ポポは、ここで何時間も寝ていたらしい。その間、通行人は誰ひとり不審に思わなかったのかしら。そんな疑念が、ポポの頭のなかを一瞬よぎって、ふっと消えた。
不思議なことは何もない。感覚したものはすべて真実である。
「お迎えありがとう、ポポちゃん。でも、こんな場所で寝ちゃだめよ」ママが顔をしかめた。
「あのね、パパに会ったんだよ」
「そう・・・元気だった?」
「うん。パパがね、ママも元気か、って」
ママは急に涙ぐみ、ポポの前髪をかきあげると、その額にかるくキスをした。
「そう。いい夢みたのね。晩ごはんは、パパも大好きだったカレーライスよ」
(おわり)
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