雲にのったポポ/みつべえ
 
参加した。熾烈なバトルロイヤルが展開した。
「このやろう!」「なにおっ!」「くそっ!」「ぎゃっ!」
罵声がとびかい、悲鳴がひびき渡った。
ポポは、その大混乱のまんなかで、地面にぺたりと座りこみ、両手で耳をおおい、下を向いてかたく目をつむっていた。
どのくらい時間がたったのだろうか。ふいに喧噪が遠のいた。静寂がやってきた。
誰かがそばに立っている気配を感じた。

ポポは知っていた。
顔をあげて目をひらく前に、すでに知っていた。それはパパだ!。
その人はポポを抱きおこした。とてもなつかしい匂いがした。潮の香りだ。目をあけると、日焼けした男の顔があった。
「パパっ、パパねっ!」

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