庭 / ****'99/小野 一縷
る
あの息苦しさを ぼくは何度も味わって 何度も忘れて
やがて麻痺してしまった その感触を思い出して
こうやって少しは 具合の悪くなるふりをしてみる
それでいいんだろう?
騙してる訳なんてない ぼくの勝手な仕草
でも 少しずつ そんなふりが 下手になっても
幾らだって ほかにも手はあるんだ
そうやって ぼくはやってきた
気にくわないツラをした 木彫りの人形を
水を撒いた砂場に擦りつけて 放ったまま
白いマリア像に 何を落書きしたんだっけ
彼女は何一つ 言わなかった
ただ彼女が 泣いているように思えて
かわいそうになった
けど
実際 かわいそうなのは ぼく
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