庭 / ****'99/小野 一縷
 
ぼくなんだろう?
それを彼女は知っていて
冷たくすべすべした 肌触りのまま
ぼくの左手の中で 決してその表情を変えやしなかった
それが 悔しかった
あの時
彼女を地面に叩きつけて 粉々にしていれば
ぼくはこんなにも平凡で
つまらない奴に ならずに済んだに違いない


何も数えてなんかいないよ
探しているんだ とっくに陽の暮れた庭で
捨てたままの 醜い像
ぼくの中の処女性 その純真を


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