フェリー埠頭にて / ****`04/小野 一縷
 
タール 
泡が次々割れて 吸い込まれる青さ そのもの
即 吐気がする 悪い顔色
丸呑みした肉 ガム 胃薬 胃散を
ジュースが甘苦く浸している それを車外に吐瀉する
スッキリする 心地好くなる 口の中が酸味で臭う

海の遥か彼方 何処かの町が砲撃されている今頃
水平線に並んで灯る光が遠くに揺れている今
港の駐車場で 分かれた枝のトップのバッズをもう一塊 車内で入れる
今度こそ青い吐気に耐えながら 30秒息を止める
受容体に取り込まれるTHC
確実に一時の平穏が非日常的に訪れる瞬間は
奇跡的な一瞬といっても実際差し支えない
肉体のその驚きが まだ新鮮なうちは

ニコチン
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