黒い鳥/アンテ
 
途端
身体から力が抜ける
部屋の真ん中にうずくまる
床に仰向けになって
手足をのばす
とても静かだ
窓のむこう
樹の枝にとまったまま
鳥たちはさっきから動かない
ひょっとしたら
木の葉を見まちがえているだけなのだろうか
目をこらしても判らない
おかしくて笑いたいのに
喉に力が入らない
今となってはどうでもいいことだ
頭のなかがしびれてくる
なにも考えられない
目を閉じると
自分だと思っていたものが
曖昧になって
自分でないものと混ざり合って
区別がつかなくなる
なぜわたしは鳥たちをあんなに恐れたのだろう
判らない
きっと
些細な理由だったのだろう
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