人間ではないアイロン/真島正人
板を潜り抜け
Yという文字に
変えられるように
アイロンは
風景の中に
馴染んでいる自分を夢想した
Xである自分が
Yである自分に
変容すること、
この、
馴染まない風景の一部として
絵画に描かれてゆくことを……
いつかのカラスではない、
別のカラスがやってきて
(アイロンは、それをいつかのカラスと勘違いしていた)
羽をつくろいながら
ささやいた
「ねぇ、アイロン君、あなたは『変わらない風景』という概念を知るべきだよ」
「君はそれを知っているのか?」
とアイロンの口のない叫びが
カラスの頭脳に
伝達をすると
「僕は逆説として知覚している」
と彼は答
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