新宿にあるあの店のコーヒーを飲みに行こう/虹村 凌
 
るしか無いかな
生きていていいのかな
机の上に転がった真新しい十円玉を放り投げて
ついてねぇやと
指を頭に突きつけて
引き金を引いて死んだフリ
そのまま眠って
街がオレンジジュースに溶けた頃に目をさます

すっかりクラゲになっちまった

未だに未練たらたら
どこかに引っ掛けたままの
破れぬ夢を引きずって
吉祥寺の街に突っ立って
いつかあの日々の自分に
今の自分が殺されるかも知れないと怯えながら
それでもあの日々の自分に背を向けて
裏切られた青年の姿で
吉祥寺の街に突っ立っている
そんなよくある下らない話で
その陳腐さに笑ってから
声を殺して泣く
舌を噛
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