指先で語られる人生悲話/涙(ルイ)
 

途方に暮れてふと顔を上げてみると
今にも落っこちそうな三日月が
冷たい闇の中でぶらぶら揺れていて
なんだかそれが深く強く
私の心に突き刺さった


ひとりで生きるって決めたじゃない
弱みを見せないって決めたじゃない
誰が私を必要としてくれるかじゃなくて
私じゃなければダメだと思ってもらいたいと
そう決めたじゃない


人が怖いのは
きっとその人に期待してしまっているからなのよ
こうでなきゃいけない自分と
こうしてもらわなきゃいけない自分
勝手に決め付けて勝手に傷ついちゃってさ


心が不安定になるのは
まだまだ自分をあきらめていないからなのよ
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