酔歌 - 1 / ****'04/小野 一縷
 
 ・・・海

「海だ」

・・・波の音が聞こえる 遠く 海鳥が一羽
銀に輝く波打ち際に沿って 低空を飛ぶ 
波飛沫を羽根で弾いて 海岸線をなぞって 低空を飛ぶ

その雫が還る海 その海と抱擁する大地

染み込んだ水は回帰する 昨日のスコールの 一滴になって

失った 過去は 蘇らない ただ 元の場所に還ってくる

過去をトレースする為に 

明日は 夕立

しかし 此処には

不協和音しか もう聞こえてこない

無色しか 此処にはもう見えてこない

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次の瞬間が 時間より一歩速く 張り付いては破れてゆく

その
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