酔歌 - 1 / ****'04/小野 一縷
 
彼の言う通りだ
空白という白い鳥が 今 ゆっくりと翼を広げる
そして 黒は瞬間一点に飛び去り 白が全方位一斉に飛び上がる
一つの終りと 合わせ鏡の 一つの始まり 光と影の反転
日常と非日常の境界面に映る罪が法の女神の性欲に昇華される瞬間 
その沸点 午前三時九分

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深呼吸の深さで 煙を吸い そして吐く 
一斉に 黒々とした瞳の探究者 純心とも呼べる好奇心が 
広大な記憶の平野に 光の雨と放たれる その雨粒が滑走してゆく
彼等は皆 喜びの歓声を 高々と掲げている

記憶の経路は あらゆる時間地点から あらゆる時間方向へ向けて
跳ね返る木霊ように 次々と現れて
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