残照 / ****'98 '01改編/小野 一縷
旅ではない
逃避行
容易く 捕まりはしない
脱獄
サーチライト 視線の銃弾
罪相応の蔑み
それは 視線にすら 免疫のない
自分にしてみたら
極刑の 無言の宣告に 値する
ボロで騒がしい車を奪って
鑑別所の中 掃除用具入れの中
すえたモップの枝垂れの中に
隠れていよう
ああ これは ぼくではないよ 間違いなく
ここには 誰もいない 今の心理状態
やがて忘れ去られて 消えるんだろう
誰もが 仮だ 所詮
温度や音と同類な自身
現在の印象に記号を付けてみる
それを 今度は消してみる
印象 やはり何も残らない
ただの現象ではいけ
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