降り立つ / ****'03/小野 一縷
 
きみが恐れた施設のタイルの模様
きみが脅えた監視カメラの威厳
きみが震えたシーツの冷徹

でも
やっぱり 行くよ
相変わらず この道は 甘苦い 

透明に近い灰色 くすんだ瞳で
ぼくは きみとの 絆に 一瞥して 振り切って
永遠の表面 を 駆けて 行く
跳ね馬のように 吹雪の中を 
無理矢理に鍛えられた か細い 脚で
冷たくざらつく 地表を 蹴って

煙を 一吹き
湿った夜を纏うんだ
両翼の害ある大風を呼び覚ます
その力 黒と 白を 交錯させる
青く翻るよ 眩暈が
目蓋が捲れちまった
そうしたら
星がこぼれ落ちるんだ 幾つも
腐るほど 星が 素適に

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