真冬の夜行列車に乗って/虹村 凌
そうでもしないと生きてられなかった
居場所がなかった
なんて
暗い話はやめようか
誰だってきっと大差無いから
逃れようとする俺と
フラフラと歩く俺が
憎み合いながら腹の底でひっくりかえったり
頭蓋の中の二匹の虫と
シミったれた負け犬が頭蓋の中で遠吠えて
気弱に笑うんだ
子供の頃に夢見たような
立派な大人になれやしなかった
でも今だって
当たり前の男になれたらいいねなんて
まるで手遅れみたいな顔で笑う
シェリーがいないから
俺は上手く笑えているかわからないけど
劣等感を晒す事には馴れちまったな
って笑うのは秘密主義者の卑怯者
ゼロハリバートンのアタッ
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