真冬の夜行列車に乗って/虹村 凌
 
早く遠く
現実から逃げるように現実に向かって
現実を見ないように現実を斜めに見ながら
誰だってそうなのかも知れないけど
そう考えたら
みんなを許してしまえる気がする
気が弱いだけなのに

風が吹いて桶屋が儲かったり
俺が生きて誰かが死んだりするって考えると
もうたまらないくらい嫌になるけど
どうでもいいくらい楽しい事も考える
アダルトチルドレンとか現実逃避とか
何か色々訳わかんねぇけど

クラゲになっちまったのかな
どうなんだろう
舌を噛み切れもしない意気地なしだから
馬鹿にされたって嘲笑われたって怒らずに笑ってられるさ
そうやって生きるのが楽だったから

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