正午/リンネ
 
真の中にいた。

 向こうに、ベンチが見える。男が力なくうつむいているが、眠っているのかもしれない。私は写真取り出し口の中で、これからのことを考えた。まさか、このまま写真の中にいるわけにもいかないのだ。しかし、どうやら写真には出口もなさそうだし、現状なす術なしというところである。そしてなぜか、頼れるのはあの男ぐらいしかいない、ということが分かっていた。幸い、かれは私に気がついたようだ。弁当を持ちながら、じっとこちらのほうを見つめている。おかしな話だが、かれとここで待ち合わせをしていたような気もする。
 だが、一方でやはり私は不安である。どうしてもオモイダセないのだ、夢の中で踊った相手は女だっ
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