正午/リンネ
だったか、それとも男だったか、もしそれが男ならば、私はこう結論する、ベンチにいる人こそが私であり、ここにいる私は単なる証明写真に過ぎないと、しかし、もしもあれが女だったならば、私はここで、完璧に孤独である、それは―――
私は、その薄っぺらな証明写真を手に取り、覗き込んだ。やにわに写真はするりと手から滑り出し、地面に落ちる間際、吹き消されたように無くなってしまった、思わず落ちたはずの場所を触ってみたが、砂が眩しくて、よく見えない、公園には一面、白い砂が敷かれていて、そのせいで日の光が強烈に反射している、ここにいると、妙な陶酔感を味わう、きっと、足元から照らされて、その浮力をなんとなく感じ取っているからだろう、……まだ、夢は続いているのだろうか。
正午を過ぎ、公園には、ぞくぞくと人が集まってくる。
私は気づかれないようにそっと、カーテンをあけ、撮影機の中に入った。
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