修繕作業/涙(ルイ)
 
いと思ったのよ
わかってほしいなんて そんな図々しいことは望まないわ
だって雨はとっくに上がってしまって
さっきから冷たい秋風が 音も立てずに窓をなぜている
そんな夜長だから 話をしたかったのよ



かわいげのない子供でした
淋しいなんて口にできなかったし
繋ごうとした手を振り払う
汚いものでも見るような眼で


月日はすぎて 大人になって
もう愛想笑いすることも
老成したふりをすることなんてしなくてよくなったけど
淋しいときに淋しいって云えるようにもなったけど
子供時代に置き忘れてきた感情を
今頃になってあたふたしながら
必死になって探しているのです

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