修繕作業/涙(ルイ)
 



器用に振舞っていたつもりだけど
ホントは全然器用なんかじゃなくて
いつもビクビク怯えてばかりいたんだと
自分の家の扉を開けるのさえ
体がこわばって 震えがとまらなかったんだと
本当は強く強く抱きしめてもらいたかったんだと
もっともっと私を見てほしかったんだと
愛してほしかったんだと
愛されてる実感がほしかったんだと
愛想笑いなんかホントはしたくなんかなかったんだと
好き好んで妙に大人びたりなんかしたくなんかなかったんだと

発せられる感情を押し殺すのではなくて
ちゃんとちゃんと受け止めて
ちゃんとちゃんと抱きしめて
ちゃんとちゃんと愛してあげなくてはと


かわいげのない子供でした
あのころはすべてを諦めていたけれども
諦めの悪い大人でいてやろうと思います
ジタバタしながら地団駄踏みながら
したたかに生きてやろうと


したたかに
しなやかに

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