ワルキューレの騎行/乱太郎
うとしたことだ。悲鳴が!悲鳴が!逃げ惑う姿に歓喜しているの
は、黒衣の一羽の鴉か。理性は陳腐なお伽話に縋っていた無邪気な
幼児。揺り籠から振り落とされてしまえば、嵩張る落ち葉。僕は叫
んだ。どこに?虚ろな空に!言葉で無く唸り声を。
*
おお!錯乱こそが歴史の踏み台
未だ完成しないバビロンの塔
埋もれたままのチベットの秘宝
理性は棺に納められ
闇夜に徘徊する悪霊よ
僕は途方に暮れていた。贅沢な饗宴に。都会はオレンジ色に染まり
昼を喰いつくそうとしていた。白夜の首には、紅い唇と白濁の唾液
の勲章が掲げら
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