ワルキューレの騎行/乱太郎
げられ、鎧に身を包んだ聖者は地下室で意味もない呪文
を唱えている。神はとっくに死んでいるというのに。代わりに台頭
してきたのは、二足歩行の単純な記号だ。オセロゲームで支配する
メビウスの輪だ。並んだ豚肉をフォークで刺しているのは、僕の右
手で無く、おそらく無関心というメタリック思想。それでいいのだ。
絶対の真理とは、がらんどうな塔。水脈の枯れた砂漠。求めようと
したから、迷い子になってしまったのだ。月が浚っていった。僕の
内臓を!心臓と肝臓と大腸を!血液は薄青く毀れている。
*
ビスコンスティの叫びが
閃光となって地平の闇を沸騰させる
死に誘うのは女神
無限に彷徨い漂う海の泡立ち
煉獄の誕生の瞬間
真紅の血が舐める死海のほとり
光沢を放つ鋼鉄の剣
前世で言葉と呼ばれていたものが
裏切りの本性を露わにして
七つの預言書の封印を解く
戻る 編 削 Point(8)