蠅車掌/(罧原堤)
』
空き地でおじさんが焚き火をしていた。ハエはいっそのこと潔くと、燃えさかる炎の中に身を投じかけたが、やめた。だが、燃やしつづけろ。燃やしつづけろその薪を燃やしつづけろその薪を。
ハエは飛んでいった。
そして、来る日も来る日もハエは少女を探しもとめた。
ショーウィンドウに青いベルがいくつもくっ付いていて、トナカイのイルミネーション、青、赤、オレンジ、緑の光が点滅していて、何ヶ月分の給料を出しても手が届きそうにないキレイなドレスが飾られてある。ものほしそうに、しばらくドレスを見つめていた少女はコンビニで買ったちっぽけなクリスマスケーキとシャンペンを手に駅へとまたトボトボと歩きはじめ
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